ラブドール系YouTuberの魔女になるまでの話。

PIPER DOLL JAPAN公式YouTubeチャンネルを見てくださった方はご存じのことと思うが、私は動画中、魔女の恰好をしている。

顔もほとんど見えず、なかなかの怪しさだ。

そもそもなんで「見習い魔女っ子」というキャラコンセプトでやっているのか。

今回はこのあたりの話をしたいと思う。

 

PIPER DOLL JAPANのチャンネルに出演することになって、一番最初に考えたのは、どうやって顔を隠すか、だ。

私もマーチも一般人。その辺を歩いているいい歳の女だ。

どれくらいの人が見るかわからないとは言え、ネットに顔を晒す勇気はなかった。

ましてや扱う商品はラブドール。

私はここ数か月でだいぶ身近なものに感じているが、世間ではまだまだそうではないだろう。

うっかり前の職場の人や、親戚にでも見られたら大変だ。

できるだけ自分の正体がわからないようにすることは、最重要課題だった。

 

一番最初に出た案は黒子のコスプレだった。

ドキ〇ーテなどで売ってる仮装グッズのあれだ。

 ←これ

動画の主役はあくまでラブドール。

私たちが黒子の恰好をしていれば、ラブドールのかわいさが際立つのではないか。

なにより作業しやすく顔もわからない。

作業しやすい、というのはラブドールを動かしたりする関係上かなり重要だ。

 

しかし、もう少し女の子っぽさを出して欲しいという理由でボツになり、やけになった私たちは「ピンクの全身タイツにピンクの軍手をした黒子」という奇天烈な案を出した。

もちろん即ボツ。

まぁ、そんな目立つのがいたらラブドールよりそっち見ちゃうよね…。

 

そこでふと思い出したのが、PIPER DOLLのキャラクター

←おなじみのこの子

私たちの目には彼女の被ってる帽子が、なんとなく魔女のとんがり帽子に見えた。

 

そうだ!魔女だ!

そこからはとんとん拍子に構想が浮かんだ。

魔女のコスプレ衣装は数多く販売されているので、見繕うのも簡単だ。

それに魔女だったら顔を隠していても、そこまで不自然じゃない!

と、当時の私たちは考えた。

今冷静に見ると、ちょっと怖いかもしれない…

ラブドールに関して私はまったくの初心者。

マーチはちょっと動かしたり、メイクをしたりしたことある程度。

そんな、ラブドールに明るくない二人なので、見習いの魔女ということにした。

普通の女子2人がわーわー言いながらラブドールで色々やってみる。

そんなコンセプトのチャンネルだ。

 

そういえば。

特に明言していなかったが、私はなんとなくこの、名も知らぬPIPER DOLLのキャラを自分らの師匠的位置づけで考えていた。

勝手なイメージなのだが。

ラブドールについて教えてくれる魔女の師匠。

なので、動画中もツッコミや進行としてよく登場させている。

 

 

ここまで読んで、PIPER DOLLについて詳しい方は疑問に思ったかもしれない。

あのキャラクター魔女じゃなくない?と。

 

そうなのだ。

私たちは大きな間違いを犯していた。

PIPER DOLLのキャラクター。

あれは魔女ではなかった。

 

曰く、ハールメンの笛吹きに出てくる笛吹きがモチーフなのだという。

よく見ると確かに横笛を持っている。

そもそも、PIPER(パイパー)というのが「笛を吹く人」という意味で、ハールメンの笛吹きの「笛吹き」を差しているのだという。

たくさんの人を惹きつける魅力溢れるラブドールになるように、という願いを込めてつけられたらしい。

 

だいぶ違った。

あのとんがり帽子は魔女ではなく、スナフ〇ンみたいな笛吹きが被ってる帽子だったようだ。

まぁ。その勘違いのおかげで、早い段階でコンセプトが固まったのだからよしとしよう…。

 

余談だが、ジェシーとマーチというネーミングは、各々の生まれ月に由来している。

私が1月。マーチは3月。

本当はジェシーではなくジェニーだった。

なぜか私がずっと動画中もジェシーと言い間違え続けたせいで、このように名乗ることになる。

なぜなのかは、自分のことながら未だに謎である。

 

かくして、私たちは「見習い魔女っ子」としてPIPER DOLLのラブドールたちと戯れる生活を始めることとなる。

かわいくて触り心地のいい彼女たちとの時間。

この贅沢な時間に、少し不満をこぼすとするならば、自ら「魔女っ子」を名乗るのが恥ずかしい、ということか。

現に、私たちは今まで動画内外問わず「魔女っ子」と口にしたことはない。

おそらくこれからもないだろう。

きっとそれは、突然運命に翻弄された私たちの、密やかな最後の抵抗なのだ。

 

文:見習い魔女っ子ジェシー